和歌山市民図書館がCCCを指定管理者にんだ、いわゆる「ツタヤ図書館」となることを選択した流れを見て行く前に、他の「ツタヤ図書館」を見て行く方がいいような気がして来ました。それはどういうものなのか。
全国最初の「ツタヤ図書館」は佐賀県武雄市図書館で2013年4月1日に開館しました。
この図書館のオープンには当時の樋渡 啓祐(ひわたし けいすけ)市長が深く関わっています。この市長がいなかったら武雄市図書館がツタヤ図書館になることもなかった可能性は高いかもしれません。(いずれどこかが同じことをやったとは考えられますが。)
樋渡氏は武雄市に生まれ東京大学を卒業後、総務省に入省。2006年に武雄市長に当選し、当時日本で現役最年少の市長になりました。ユニークで斬新な手法やトップダウン型の自治体運営で話題を集めたそうです。
市民病院の民間移譲や武雄市図書館のリニューアル(「ツタヤ図書館」)などで民間業者を使う斬新な施策を実施し注目を集めたが、その手法が「独善的」「話題先行」などとして批判も受けた。(Wikipedia)
Wikipediaには他にもいろいろ書かれています。
武雄市の人口は2013年9月30日時点で50,645人です。
樋渡氏は『沸騰!図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ』(角川oneテーマ21、発行2014年5月)という新書を出版されており、和歌山市民図書館にありましたので私の家族が好奇心から読んでみました。
最初の方に著者は、図書館が好きなので夕方行ってみたら外はまだ明るいのに閉館してしまった(初夏だったのでしょうか)し、翌日行ってみたら閉まっていた(閉館日だったんでしょう)と憤慨し、 これはひどいと思われたようです。週に一日閉館日があるのは図書館だけでなく美術館や博物館や文化会館でも普通のことですし、けしからんと言うほどのことでしょうか。市民の強い要望があれば自治体直営でも開館時間の延長はできますし、現在の和歌山市民図書館でも行われています。
また樋渡氏は著書の中で、館内で市民と会話していると職員から静かにするように注意されたことにも憤慨していました。
樋渡氏のCCCへのラブコールと政治主導によって武雄市図書館は「ツタヤ図書館」となることが決まりました。2000年10月に新築オープンしたばかりの前の図書館を改装して2013年4月に再オープンしました。以前から歴史資料館が隣接していました。
佐賀県武雄市図書館 (図書館サイト)
https://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do
中の様子はどんなでしょう。
劇的! 武雄市図書館 ビフォー・アフター by TSUTAYA図書館の匠
http://nukalumix.hateblo.jp/entry/before_after
佐賀県武雄市図書館見学・ためい記
静岡図書館友の会 草谷桂子
(ここをクリックするとPDFが開きます)
最初の頃は来館者が劇的に伸び、評判は良かったのです。好意的なメディアの報道で注目を集め、全国から視察が相次ぐようになりました。 和歌山市からも行っています。
「地方自治でできないことはない」樋渡啓祐・武雄市長インタビュー
図書館革命を超えて“公共空間革命”へ
[2013.08.26]
https://www.nippon.com/ja/people/e00047/
しかし開館当初からこのような懸念もありました。
「Tカード利用」武雄市図書館がオープン 個人情報保護に問題はないか
弁護士ドットコム ニュース
2013年04月10日 17時54分
https://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_298/
やがて不適切な選書(購入図書の選択)等が見つかりました。
武雄市図書館が開館前にDVDを大量除籍 「館内併設のTSUTAYAに配慮?」との疑問の声に武雄市は否定
ハフィントンポスト 2014年04月24日 Chika Igaya
https://www.huffingtonpost.jp/2014/04/24/takeoshi_n_5203682.html
10年以上前のExcel本や「公認会計士受験本」・・・
武雄市図書館はTSUTAYAの「在庫処分」なのか
Jキャストニュース 2015/8/12 15:27
https://www.j-cast.com/2015/08/12242571.html?p=all
武雄市長はホームページでおわびを発表しました。
http://hiwatashishachu.jp/blog/1188/
武雄市図書館リニューアルオープン時の蔵書購入について
CCCは、教育委員会の指示により、2056万円の蔵書購入費を756万円に圧縮し、緊急に発生した 安全対策費用を捻出しておりました。その捻出に当たってのプロセスについては武雄市教育委員会も了解をして進めておりました(CCCの発表資料はこちらです。)。
この決定プロセスについては、教育委員会及び現場に委ねており、当時の行政の最高責任者である私が詳細まで関知していなかったことについて、反省の上、お詫び申し上げます。
この頃から批判的なニュースが増えます。
「ツタヤ図書館」逆風 利用者3・6倍もトップダウンへの反発? 佐賀・武雄市
産経新聞WEST 2015.10.8
https://www.sankei.com/west/news/151008/wst1510080015-n1.html
ツタヤ図書館、契約ずさんとして住民が訴訟!市が住民の情報開示要求を拒否!
深まる不信
文=日向咲嗣/ジャーナリスト
Business Journal 2015.12.09
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12797.html
ツタヤ図書館、市が全小学生にTカード加入の勧誘疑惑?教育委員会「問題ない」
文=日向咲嗣/ジャーナリスト
Business Journal 2015.12.18
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12933.html
2015年1月、 樋渡氏は自民党の推薦を受けて佐賀県知事選に出馬するも落選し、2015年にCCCが設立した子会社「ふるさとスマホ株式会社」(後に株式会社TSUTAYAに吸収合併され解散)の代表取締役社長に就任したのです。なんという転身!
樋渡啓祐・前武雄市長、CCC子会社の社長に就任
Jキャストニュース 2015/7/29 12:25
https://www.j-cast.com/2015/07/29241397.html
衝撃事実発覚 あの樋渡前武雄市長がツタヤ関連企業に天下り!
牧野めぐみ 週刊朝日 2015年8月21日号
https://dot.asahi.com/wa/2015081200005.html?page=1
批判多数のTSUTAYA運営武雄図書館 市教委は「わからない」
NEWSポスト 2015.08.27 (女性セブン2015年9月10日号)
http://www.news-postseven.com/archives/20150827_346090.html
ツタヤ図書館を誘致した市長が子会社入社、収賄罪に該当か
10年前の欧州サッカー本入荷
文=日向咲嗣/ジャーナリスト
Business Journal 2015.12.21
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12968.html
樋渡氏が市政を去った後も武雄図書館は継続し、住民訴訟に発展しました。オープンから5年間で当初契約の指定管理費用の他に10億円が市税から支出されました。
2017年10月1日にはかつての歴史資料館が「こども図書館」になってオープンしました。歴史資料はどこへ行ったのでしょう?
(佐賀)武雄市こども図書館が10月1日に開館
朝日新聞 九州 2017年9月30日03時00分
https://www.asahi.com/articles/ASK9Y3PPJK9YTTHB001.html
しかし、2017年12月には新たな5年間の指定管理継続が議会で決定しました。
武雄市図書館の運営CCC継続、来年度以降の5年間
読売新聞 九州発 2017年12月22日
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/life/knowledge/20171222-OYS1T50037.html
興味のあるかたはこちらもどうぞ
佐賀県武雄市・樋渡啓祐市長インタビュー【前編】
やっぱり政策は商品だ 理念なんてあっちゃいけない
ダイヤモンド・オンライン編集部 2014.7.31
http://diamond.jp/articles/dol-creditcard/56858
佐賀県武雄市・樋渡啓祐市長インタビュー【後編】
僕は反対派を説得しない
仲間を増やして無力化する
ダイヤモンド・オンライン編集部 2014.8.1
http://diamond.jp/articles/dol-creditcard/56911?page=6
引用の記事は発表当時のもので必ずしも現状を表すものではありません。
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